3.経常運転資金とは?
債務償還年数を考える際にも出てきた経常運転資金とは、売上債権・在庫と支払債務のギャップにより発生する資金需要のことであり、事業継続上、常に必要となる資金で事業が順調に回っている限り、最終的には、必ず返済が可能な借入と考えられます。
(図表3)経常運転資金のイメージ
*棚卸資産回転期間・・・保有する棚卸資産(在庫)が売上に変わるまでの時間を示す指標
**売上債権回転機関・・・製品・商品を販売して売上債権(売掛金・受取手形等)が資金化(キャッシュイン)されるまでの時間を示す指標
***仕入債務回転期間・・・仕入れから仕入債務(買掛金)を支払う(キャッシュアウト)までの時間を示す指標
また、経常運転資金の金額は以下のように求められます。
(図表5)経常運転資金の求め方
例えば、売上債権(売掛金・受取手形)8,000千円、棚卸資産(材料、仕掛品・半製品、製品)5,000千円、仕入債務(買掛金、支払手形)7,000千円の企業の場合、
(8,000千円+5,000千円)-7,000千円=6,000千円
が経常運転資金として認められることになります。
この経常運転資金のための借入については、毎月(割賦返済)は返済しなくてもよい借入金として見ることができます。なぜなら、上述のとおり、事業が順調に回っている限り、最終的には必ず返済が可能な借入と考えられるからです。そういった考え方から、上記の債務償還年数を計算する際に全体の借入金から経常運転資金を控除するという求め方になっています。
逆に、融資を申し込む会社側から見ると、分割返済しなくても良いという観点から、経常運転資金のための借入金は長期借入金ではなく、期限一括返済での融資(短期継続融資)を利用することを交渉し、毎月のキャッシュフローに余裕を持たせるという方向性も考えられます。
次回記事(予定)
会社の状況や資金使途に応じた借り入れ方法・返済方法(最後に述べた経常運転資金の場合には期限一括返済など)を説明していきたいと思います。
参謀ドットコム 中小企業診断士 J・Y